「ファンタジーっていうけど、最大のファンタジーって僕は日常だと思うんですよ」
(「小説すばる3月号」スペシャルインタビュー 橋本紡 より)
「ぜひ気づいて欲しいんですよね。たとえ何も起きてないシーンを延々描いているようにみえても、それを見ている人の心は確かに移り変わっているんだよって」
(『月光スイッチ』橋本紡 「ダ・ヴィンチ」第157号より)
「きれいではないことが見方を変えればものすごくきれいだったりすることも、この世の中にはあるわけですから」
(『ひかりをすくう』橋本紡 「ダヴィンチ」第149号より)
豆を煮ることも、そのそばで本を読むことも、させて風流ではない。ただの日常である。
けれど愛するべき人と豆を食べることは、同じように日常であっても、風流なのではないか。
ああ、ちょっと違うかな。
誰かになにかを食べさせることが風流そのものなんだ。
(「豆を煮ながら」 野性時代5月号より)
優れた作家であろうと、その作品には必ず瑕がある。完璧な小説を書くことなど不可能なのだ。しかし瑕があろうと、明確な魅力を示すことができれば、読者楽しんでくれる。
まずは自らの心を覗き、そこにあるものを確かめて欲しい。
そして、ただ自らに溺れるだけではなく、読者を楽しませることに励んで欲しい。言葉とは、誰かに読んでもらうための道具なのだから。
(コバルト08年選評より)